銅板屋根とは?他の素材との違いやメリット・デメリットを解説。

屋根工事銅板1

銅板屋根の特徴

銅板屋根はガルバリウム鋼板などの板金屋根の一種ですが、塗装がないという大きな違いをはじめ、素材に大きな特徴があるといえます。銅板屋根の特徴、メリットとデメリットも詳しく解説します。

メリット・デメリット

特徴

銅板屋根の特徴は、その名の通り「銅」という素材にあります。

銅は、いうまでもなく金銀銅の銅のことですが、金と銀に次ぐ高級金属です。そのため価格も安定しておらず、時価ですので定価というものがありません。ちなみに現在はやや高くなっており、本記事執筆時(2023年10月時点)では、1キロあたり1,000円を超えています。

屋根材として使用する場合の厚みは0.3ミリから0.5ミリと非常に薄く、他の金属に比べて柔らかいので加工は容易です。塗装の必要はなく、素地のままで防水できますので、塗装メンテナンスも不要です。

新品の銅は赤茶色で光沢があります。屋根に葺いてから数回の雨で光沢はなくなり、黒茶っぽく変色し、以降少しずつ黒が強くなっていきます。ロケーションにもよりますが、おおよそ20年から30年経つと、緑青が出てきます。「りょくしょう(緑青)」と呼ばれ、緑色っぽく変色する現象です。実際には変色というより酸化被膜が出来ていて、銅の表面を覆うことで起こります。この酸化被膜によって銅板が守られ、さらに寿命を伸ばす要因になります。屋根材としては主に横葺き工法が多く、縦365ミリ、横1212ミリの定尺版(標準的に市場に流通しているサイズ)を4つ、6つ、8つなど切る枚数で寸法が変わります。

メリット

耐久年数が長い

銅板屋根は他の屋根材に比べ、無塗装のままで長い耐久年数があります。100年を超える事例もあります。

今までは屋根材より雨樋に使用されることが多く、銅の雨樋は瓦の雨落ち部分に合わせて等間隔で穴が開くことがあり、そのため銅は酸性雨で穴があくといったイメージがありました。しかし現在ではそれが誤りであることがわかっています。実際には瓦の釉薬と相性が悪く、雨水で流れ出た釉薬が銅に穴をあけているため、銅と瓦を一緒に使用しなければ問題ないことがわかっています。

軽量化できる

銅板屋根は瓦屋根と比べて大きく軽量化できます。屋根が軽くなることで耐震性が上がり、柱などの建物の構造への負担が軽減できます。おおよそ瓦の5分の1から8分の1くらいの重量になります。

また、施工の際も解体撤去の際も、材料が軽いほど手間も少なく、費用もおさえられます。

環境に優しい

銅板屋根に寿命が来て解体撤去した際、銅板屋根はリサイクルが可能です。金属の下取り業者は銅板を買取りしてくれます。瓦屋根はすべて産業廃棄物として焼却処分されることを考えればかなり環境負荷が小さいと言えます。

銅板の買取価格は新品と比較すれば1/3程度ですが、相場は変動するため時価を確認する必要があります。

デメリット

値段が高い

銅板屋根は高級金属ですので、ガルバリウム鋼板やステンレスと比べ材料費が高くなります。高い分、耐久年数があり塗装メンテナンスも不要なので、長期的に見るとコストパフォーマンスは高いのですが、初期費用をおさえたいという場合には向いていません。

ハゼが潰れると雨漏りする

メリットで述べた通り、銅板自体の耐久性は酸化被膜の緑青に守られることもあり長期にわたりますが、なかには30年程度で雨漏りするケースがあります。理由は銅板同士をつなぐジョイント部分のハゼです。ハゼが潰れてしまうと毛細管現象で雨水を吸い込みやすくなります。屋根の上から雪などの重量がかかることでハゼが潰れると雨漏りしやすくなります。

塩害など

塩害とは、海の沿岸部で見られる塩分による被害です。海中の塩分が海風や潮風に乗って陸地へ運ばれ、錆びを発生させることがあります。銅板だけでなくガルバリウム鋼板やステンレスなど他の金属屋根でも塩害が起こりえます。屋根面や軒先などに付着した塩分によって錆が発生し、穴が開くなどの腐食が進行します。こまめに洗い流すなどの対策で防ぐことはできますが、海に近い立地で銅板屋根が向いているとは言えません。

また、鉄道の線路わきのロケーションでは、車輪や線路の鉄粉が飛んで銅板と電蝕を起こすことがあります。電蝕とは、種類の異なる金属が接触することで片方もしくは両方の金属が腐食することです。

銅板屋根の施工方法

銅板屋根の施工方法は、ガルバリウム鋼板などの板金屋根の施工と似ているため、共通する部分が多くなります。ここでは銅板屋根の施工方法を解説していきます。

屋根工事銅板2

施工方法

銅板の材料規格

銅板の材料は、主に「銅板平板」と「銅板コイル」があります。それぞれに、板厚や寸法の設定にパターンがあります。平板の寸法は、板幅365ミリと455ミリ、板長は1212ミリです。コイルの寸法は、板幅455ミリ、606ミリです。

加工

量産品の場合は、メーカーの工場などで成形加工され現場に搬入されます。加工品の場合は、一般的に施工業者の加工場で行われ、現場に搬入されます。職人加工の場合は、簡単な機械で切断・加工します。

屋根材は、銅板の定尺寸法である365ミリ×1212ミリを4つに切ったり6つに切ったりすることで1枚の寸法を変えていますが、一般的に屋根の面積が大きいほど比例して1枚の寸法は大きくなる傾向があります。1枚の寸法が小さくなるほど必要な材料は増え、加工も葺き手間もかかるため作業費は割高になります。

役物なども同時に加工することが多いですが、部材によってはタイミングが違ったり、現場で実際の寸法を型取りして加工することもあります。

現場の施工

アスファルトルーフィングなどの防水シートが貼りおわったら、銅板の施工です。

縦ハゼが交互に、千鳥状になるように並べ、前と後ろの段の屋根材の真ん中に縦ハゼをもってくることで強度だけでなく見た目も美しく見えます。野地板との固定は吊り子という小さい金物で施工します。吊り子の端を屋根材のハゼで巻き込み、もう一方の端を野地板に釘やビスで打ち付けます。

複雑な屋根では、各部の取り合いを加工した銅板で納めますが、必要に応じて下地を作ります。谷部がある際は適切な方法で施工することで雨漏りのリスクを下げることができます。棟などのカバーを施工するときも、雨漏りリスクを考えてなるべく下に屋根材が施工された状態を作ります。

鬼飾りなどの特殊な役物は最後に取り付けます。銅板の鬼飾りは板金職人で作成できることは少なく、専門の業者に依頼することが多いですが、現場での設置は板金職人が行います。

施工事例

神社灯篭銅板巻き 三重県松阪市
神社灯篭新設にあたり、銅板巻き工事を行いました。
銅板屋根で有名な建物としては大阪城や名古屋城などのお城、日光東照宮などの神社仏閣が挙げられます。伊勢神宮でも御饌殿や猿田彦神社など銅板屋根は多くあります。銅板屋根はこのような建築が多いのですが、もちろん一般住宅での施工も当社は対応可能です。
施工前・施工時・施工後の画像はこちら(case07)

銅板屋根と他素材の比較

銅板屋根以外の屋根の材料にはさまざまな種類があります。耐久性が長いもの、短いもの、価格が高いもの、安いものなど、ばらばらです。重量にも差があります。

ここでは代表的な屋根材5種類と銅板屋根を比較してみましょう。

屋根工事銅板3

スレート屋根との比較

銅板屋根は、スレート屋根と比較して耐久年数が長くなります。スレート屋根は価格は安いですが、耐久年数は20年程度で塗装のメンテナンスも必要です。スレート屋根は塗装の屋根材なので、素地の銅板が単色なのに比べてカラーバリエーションは多くなります。スレート屋根は比較的重量は軽く、耐震性も上がりますが、銅板と比較すると重いです。

ガルバリウム鋼板との比較

銅板屋根は、ガルバリウム鋼板と比較して耐久年数が長くなります。ガルバリウム鋼板は30年くらいの耐久年数で、塗装メンテナンスも必要ですが、銅板屋根に比べて価格は安くなります。ガルバリウム鋼板も塗装の屋根材なので、素地の銅板が単色なのに比べてカラーバリエーションは多くなります。板厚が同程度であれば遮音性や断熱性、重量はほぼ同じです。

瓦屋根との比較

銅板屋根は、瓦屋根と比較して耐久年数が長くなります。ただし、瓦屋根でもいぶし瓦で焼成温度が高いタイプであれば銅板屋根と変わらない耐久年数になることもあります。瓦屋根も銅板屋根と同じく塗装メンテナンスは不要です。価格的には同程度かやや銅板屋根のほうが高くなります。重量は銅板屋根のほうがかなり軽く、おおよそ瓦の5分の1から8分の1くらいです。

銅板屋根と瓦屋根のいちばんの違いである重量差で最も影響が大きいのは、カバー工法に向いているかいないかの違いです。瓦屋根の原料は粘土なので、金属の銅板屋根と比べて形状の自由度は高くなります。また、瓦の厚みは銅板屋根と比較すると数十倍以上ですので、断熱性、遮音性にも優れています。瓦が劣化や飛来物によって割れるという症状が出るのに対して、銅板屋根は割れるということはないですが凹むことがあります。

トタン屋根との比較

銅板屋根は、トタン屋根と比較して耐久年数が長くなります。トタン屋根は20年くらいの耐久年数で、塗装メンテナンスも必要ですが、銅板屋根に比べて価格は安くなります。また、トタン屋根も塗装の屋根材なので、素地の銅板が単色なのに比べてカラーバリエーションは多くなります。板厚が同程度であれば遮音性や断熱性、重量はほぼ同じです。

トタン屋根は通常ロケーションでの使用でも錆びに弱いことで知られていますが、銅板屋根は電蝕など特殊なロケーションでない限り錆び腐食はほぼ発生しません。

アスファルトシングルとの比較

銅板屋根は、アスファルトシングルと比較して耐久年数が長くなります。アスファルトを表面に吹付けコーティングしたアスファルトシングルは15年くらいの耐久年数で、かなり短期での塗装メンテナンスも必要ですが、銅板屋根に比べて価格は安くなります。

アスファルトシングルは銅板屋根と同じく柔軟で加工もしやすいため施工性が良いところが共通しており、複雑な屋根形状も対応できます。アスファルトシングルは強風で剥がれやすく、表面が乾きにくいためコケや藻が繁殖しやすいのに対し、銅板屋根は固定がしっかりされ熱伝導も高い素材なので表面が乾きやすくコケや藻は繁殖しにくいです。

まとめ

まとめ画像

銅板屋根の特徴、他の素材との違いやメリット・デメリットを解説してきました。

銅板屋根は材料が高価で耐久年数が長くなりますので、一般住宅より神社仏閣などの伝統建築の分野で多く使用されてきました。

しかし、良質なコンクリート造や木造でも寿命の長い建物であれば、銅板屋根の特徴を生かして長期的なコストパフォーマンスは高くなりますし、軽量化もできますので耐震性も向上します。環境に優しいという特徴も今後ますます注目されるでしょう。一般住宅でも銅板屋根という選択肢は充分検討できそうです。

髙橋 直浩

株式会社 高橋ブリキ工房
代表取締役社長

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