屋根工事詐欺の手口とは!?騙されないための事前対策と契約してしまった後の対処方法を徹底解説。

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屋根工事詐欺の事例と被害内容

屋根の工事では詐欺やそれに近い手口で工事代金をだまし取ろうとする悪質な業者があります。屋根面や屋根裏は、目に見えにくい場所なので、悪質業者にとって屋根に関する工事はだましやすいジャンルといえます。実際にあった事例を1つ挙げてみます。

事例ーーー

あるお宅で雨漏りが発生したため、お客様がネットで探した修理業者へ点検・調査を依頼したところ、屋根に上がった業者がそのまま修理してしまったという事例があります。

お客様としてはまず点検調査して、雨漏り箇所を特定したうえで対処を検討し、家族などとも相談してから契約した後で工事を依頼する、というイメージでした。ところが、屋根上で業者が簡単な修理工事を行ってしまい、数万円という工事代金を請求されることになりました。

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この事例の場合、お客様は無料の点検調査だけを依頼したつもりが、業者としては、「点検調査は無料ですが、修理工事は有料なので工事をした分は支払ってください」という理屈を述べてきます。

お客様が「契約をしていないから」と支払いを拒むと、業者は「では事後ですが今から契約を…」という要求をして来ることもあります。さらに、「調査点検と同時に工事ができたのだからかなり割安になっていて、改めて検討して出直してくることになるともっと割高になってしまう」などと畳みかけて支払いを促します。

数万円なので、手持ちがある場合であれば面倒になって支払ってしまうこともあるでしょう。悪質業者としてもそこを狙っていることも多く、なかには手持ちの金額に合わせて巧みに値引きしてくることもあります。

また、契約をしてから工事をする場合でも、前払いで工事代金を支払ったのにも関わらず、工事が行われないという事例もあります。たとえば100万円の工事の場合、「来月に工事をしますので、今月中に100万円支払ってください」と言われ、支払うとそのまま工事をせずに逃げられてしまう、というケースです。

通常だと、支払いは工事完了後か、手付金や着工金、中間金という形で何度かに分けて出来高支払いに設定されています。100万円の工事の場合、手付金か着工金として50万、工事完了時点に50万。もしくは手付金や着工金として30万、中間金として30万、工事完了時点で40万、などが一般的でしょう。少なくとも工事前に全額の支払いを要求してくる業者であれば詐欺を疑うべきです。

また、振込ではなく現金での手渡しはなるべく避けるようにしましょう。現金払いは、支払いの証拠が残りにくくなります。大きめの規模で事業展開している大手の会社でも、現金で受け取った担当者がそのまま持ち逃げするという事例が実際に起きています。

他にも、よくある屋根工事の詐欺事例としては飛び込みで訪問してきて無料点検の上、不安をあおり契約させるなどのケースがあります。次の「屋根工事詐欺の手口・特徴」で詳しく解説します。

屋根工事詐欺の手口・特徴

屋根工事詐欺2

飛び込み営業で屋根の劣化や破損を指摘してくる

飛び込み営業とは、手当たり次第にアポイントなしでインターホンを鳴らして訪問し、商談に持ち込む営業手法のひとつです。屋根の工事では、ある程度築年数が経ち、屋根が古くなっている家を選んで訪問することが多い傾向があります。飛び込み営業をしている会社の中には、過剰にお客様の不安をあおり契約を結ばせようとする悪質な詐欺業者が存在します。

よくある手口として、「屋根が雨漏りしているかもしれない。無料で点検しますよ。」といって屋根に上がり、屋根の劣化や破損を指摘してくるというものです。「このままではすぐに雨漏りしてもおかしくない。すでに雨漏りしているのではないか。」などと不安をあおり、その場で電卓を取り出して「通常ならこの価格で修理しますが、今ならキャンペーン中なので値引きします」などと畳みかけます。なかには瓦を割るなどわざと破損させて写真を撮り、不安をあおってくるというさらに悪質なケースもあります。当然これは器物破損ですが、なにしろ普段目に見えている場所ではないので本人にしか真実はわかりません。

もちろん、飛び込み営業がすべて詐欺というわけではありませんが、このような詐欺的な手口が多く見られるのは事実です。

メーカーを装って定期点検に来る

家を建てたハウスメーカーや屋根に使われている屋根材のメーカーを名乗り、定期点検や無料点検だと偽って訪問して来ることもあります。そして点検後に屋根の劣化や破損を指摘してきます。

メーカーだと言われるとその家や屋根を作った会社なので、信用してしまいがちです。家を建てたメーカーや屋根材をどうやって知るのか不思議に思うかもしれませんが、実はプロが家や屋根を見ると簡単にわかることも多いのです。特に屋根材は成形された既製品であれば、素材や製造メーカーは絞られてきます。つまりメーカーだと偽るのは難しくないのです。修理などの契約を薦められ、工事を依頼したら実は全く関係ない業者だったという詐欺の手口です。

屋根工事詐欺に騙されないための事前対策

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突然の営業訪問時に屋根に登らせない

屋根は普段登ることはありませんし、無料で点検してくれる、と言われれば「まあ、いいかな」と思ってしまいがちです。しかし、見えないところで何をされているかわかりません。屋根工事の詐欺を防ぐには、「無料」という言葉に誘惑されず、突然飛び込み営業をしてきた見知らぬ業者を屋根に登らせるのは危険だと思うようにしましょう。

もちろんサービスとして無料点検を行っている業者もたくさんありますが、それらの多くはお客様からの紹介や、チラシによる問い合わせなど地道な宣伝活動を行っています。飛び込み営業をする業者には十分注意しましょう。

名刺をもらう

特に飛び込み営業で訪問してきた業者に対して有効なのが、まずは名刺をもらうことです。こちらから要求しなくても普通は名刺を差し出すものですが、言われてから名刺を出すということは詐欺かもしれないと疑った方がいいでしょう。名刺がないというのは言うまでもなくアウトですが、他人の名刺や退職した会社の名刺を使用するという事例があります。そのため、可能であれば社員証を確認するほうが確実ですが、少なくとも名刺は確認するようにしましょう。

地元の業者を利用する

詐欺業者というのは、ひとつのエリアで長期間にわたって活動することはできません。数件にわたって活動すると詐欺の情報が周辺へ広がり、活動しづらくなるため、別のエリアへ引っ越す傾向があります。あるいは、ある程度広いエリアで浅く活動することで活動期間を長くすることもあります。そのため、地元密着で活動する業者を利用すれば、詐欺的な手口で活動する業者に出会う確率はかなり低くなります。

値引きやキャンペーンに釣られてその場で契約しない

詐欺業者の特徴のひとつに、契約を急かす傾向があります。業者が嫌うのは、見積もりを他社と比べられたり周囲に相談して時間がかかることです。長引けば長引くほど、その間に自分たちにとって都合の悪い情報が消費者に入ってしまうからです。

契約を早める手段として、資材や人件費の高騰など一般の消費者には分かりにくい理由を並べる手口など、いくつかの方法がありますが、最もインパクトがあるのがキャンペーンや決算などを理由にした「値引き」です。工事価格は車と違って家や屋根によってバラバラです。定価というものがありませんので、適切な金額かどうかは消費者がすぐに判断することはできません。100万円で出てきた見積もりが、キャンペーンで今なら80万円にできますよ、と言われれば、つい魅力的に感じられるものです。

しかし、赤字になってまで工事をすることはまず考えられません。80万円でもじゅうぶんな利益が取れるということで、はじめから値引きをする前提で上乗せしている可能性があります。そんな値引きは、契約を急かすための口実で、限りなく詐欺に近い行為と言えます。

数社から相見積もりをもらう

相見積もりとは、同じ工事内容で複数の業者から見積もりを取ることです。1社だけの見積内容と金額では、それが適切・適正なのか判断ができません。複数の業者からの見積もりを比較検討することで、金額的な詐欺を防ぐことができます。相見積もりは、大手の工事会社と地元密着で活動する業者に依頼するなど、規模やスタイルの異なる業者に振り分けて見積もりをもらうのがいいでしょう。

ポイントは、工事内容を統一することです。工法や材料が統一されていないと、見積金額も変わってしまいます。より良い工法・材料を提案してきてくれる業者もいると思いますが、その比較をするにも、まずは同じ内容の見積もりをベースに相談するようにしましょう。

点検時の写真をもらう

屋根を点検してもらったら、破損や不具合が発見された修理の対象となる箇所の写真を撮ってもらい、見せてもらいましょう。ただし、詐欺的なケースでは、わざと破損させたり、似たような屋根の他の写真を見せてくることがありますので注意が必要です。良心的な業者であれば、進んで画像を見せて説明してくれたり、印刷して渡してくれたりします。

また、ドローンなどで屋根に登らなくても点検出来るならそれに越したことはありません。一緒に画面を見ながら確認することも可能ですし、屋根を壊されるリスクも下がります。

弊社でも無料でドローン点検を行っています。 

→ドローン点検のお問い合わせはこちら

工事代金の前払いに応じない

「屋根工事詐欺の事例と被害内容」のところで事例を挙げたとおり、工事の前に費用を前払いしてしまうのは危険です。工事の施工前に支払いをしてしまうと、お金をもらった業者のほうが立場が強くなってしまいます。そのまま工事せず持ち逃げされるということもありえます。

工事代金の支払いは原則工事完了後、または手付金・着工金・中間金と工事の進行に合わせて何度かに分けて支払います。工事代金を前払いしてくれと言ってきても応じてはいけません。

また、以前にも工事を頼んだなど信頼できる業者であっても、工事代金の前払いに応じてはいけません。なぜなら、会社の財務状態が悪化していて、先にお金をもらわないと材料を買ったりすることができない可能性があるからです。詐欺業者のように持ち逃げされることはなくても、工事の途中で倒産されてしまうと、工事が進まなくなる可能性があります。

契約してしまった後の対処方法

屋根工事詐欺4

クーリングオフ制度を利用する

契約をしてしまった後でも、一定の条件に合っていればクーリングオフ制度が利用できます。契約してから8日以内なら契約を無効にすることができます。8日を超えてしまっても、契約時にクーリングオフの説明をされなかったり、契約自体に不備があればクーリングオフが出来ます。ただし、業者の事務所に行って契約した場合などはクーリングオフが出来ません。

クーリングオフの手続き方法は、契約の時に一緒に渡されているクーリングオフ通知はがきに必要事項を記して業者に送付します。

消費者センターに相談する

消費者センターは各都道府県などのエリア別に設置されています。契約内容の有効性やクーリングオフが可能かなど聞くことができますので、なるべく早く相談しましょう。

業者とのやり取りも消費者センターから業者へ連絡をしてくれます。詐欺業者は「契約してしまえばこっちのもの」とばかりに態度が変わることもありますので、話すだけで嫌な気分になってしまいます。それが原因で諦めることにつながることもありますので、消費者センターに任せた方がいいケースもあります。

弁護士に相談する

既に工事代金をだまし取られてしまった場合などは弁護士へ相談し、場合によっては民事訴訟を起こすことも選択肢の一つです。だまされた自分が悪いと思って人に相談できなかったりすることはよくあります。しかし、だまされたのは恥ずかしいことではありません。泣き寝入りせずに相談しましょう。

警察に相談する

ケースによっては詐欺事件として警察に相談することもできます。ただ、詐欺事件として認定し警察が動くには刑法上の詐欺行為が明確にならなければ難しいため、その場合はまず弁護士に相談するという段階が必要になります。

まとめ

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屋根工事詐欺の事例と被害内容、屋根工事詐欺に騙されないための事前対策、さらに契約してしまった後の対処方法について解説してきました。

屋根工事の詐欺的な事例や手口は多様で、ここに紹介したもの以外にもいくつかあります。たとえば屋根の修理工事で、火災保険が適用できるから費用負担なしで工事ができる、と誘導され契約したらあとから実は火災保険が使えなかったというケースもあります。

詐欺にだまされないポイントのひとつは、まず焦らないこと。相手の言うことを鵜吞みにせず、いったん時間を取って落ち着いて考えることです。詐欺業者は、その場で不安をあおり契約などの物事の進行を巧みに迫ってきますので、いったん冷静になり時間や日にちを確保する、迷ったら断る、という原則を忘れないようにしましょう。

とはいえ、雨漏りなどの緊急時に焦るなと言われても困りますよね。いざという時に焦らなくていいように、日頃から信頼できる業者と付き合っておくなど依頼する業者を決めておくのがベストといえます。

髙橋 直浩

株式会社 高橋ブリキ工房
代表取締役社長

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