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屋根工事項目別の単価相場
屋根工事には工事内容、工事方法、材料別に単価の相場があります。
単価というのはひとつの単位当たりでいくらになるか、という意味です。面積なら1㎡あたり、1坪あたりがよく使われます。他にも長さ1mあたり、などがあります。ここでは屋根材と工事種類別に主に1㎡あたりで単価の相場を解説します。
葺き替え
瓦(和・洋・セメント)を葺き替える
瓦には、大きく土原料とセメント系原料があり、本葺き瓦、平瓦、などのタイプがあります。土原料ではいぶし瓦と陶器瓦があるなど製品によって細かくわかれ、それぞれに特徴や耐久性も変わってきます。
単価も製品タイプによって変わってきますが、一般住宅用に使われている瓦の単価相場としてはおおよそ1㎡あたり1万円前後が多いです。
スレート(コロニアル)を葺き替える
スレート系のコロニアルは、瓦に比べ耐久性は落ちますが、薄くて軽く、価格も安価です。単価相場としては1㎡あたり5,000円から8,000円です。
金属(トタン)を葺き替える
金属屋根の代表的な屋根材は、現在トタンを改良したガルバリウム鋼板が多くなっています。横葺き、縦葺きによって金額がかわりますが、単価相場は1㎡あたり5,000円から10,000円です。
屋根カバー工法の費用
既存の屋根材を残したまま新しい屋根を被せるカバー工法ですが、全面的に新しい屋根へ工事するという意味では葺き替えと同じなので、単価相場は変わりません。
ただし、安全面の観点から重量がある瓦はおすすめできません。カバー工法では屋根が二重になるためそのぶん重さもあり、耐震性が低下してしまうからです。また、瓦は表面が波型にウエーブした形状になっているため、既存の屋根が瓦の場合は物理的に新しい屋根を上から被せることができないこともあります。
費用に差が出るのは、主に既存の古い屋根材を解体処分しないため、そのぶんの費用がおさえられ、安くなる点です。既存の屋根の解体撤去・運搬・処分は手間がかかります。金属系の屋根であれば軽くて作業性がよく、処分にもお金があまりかからないか買取りできることもあります。しかし瓦の場合は重く、処分にも費用がかかります。葺き土がある場合はさらに加算されます。一般的な住宅では瓦の解体撤去処分まで一連の費用に20万から30万の費用がかかることがあります。
補修
屋根修理
屋根は台風や大雨などで被害を受けることがあります。風や飛来物によって破損したり飛ばされたりした部分を修理・交換する作業が必要になります。
また、災害がなくても、屋根は経年劣化で修理補修が必要です。
費用単価が低い例から紹介すると、
- コーキングで補修・・・1メートルあたり700円から1,000円
- 漆喰補修工事・・・1か所あたり1,000円から2,000円
- 板金修理・・・1か所あたり2,000円から3,000円
- 瓦の差し替え・・・1か所あたり4,000円
- 棟板金交換・・・1メートルあたり3,000円から4,000円
1件あたりの費用相場としては、おおよそ10万円前後から50万円くらいまでになることが多いです。
付帯工事
屋根工事の際に、屋根面の他にも併せて施工しておきたい工事はいくつか考えられます。
雨や風が強いエリアや雪が多いエリアには、地域性に合った工事も考えられます。
ここではほんの一例を挙げます。
- 水切り・谷板金工事・・・1メートルあたり3,000円から5,000円
- 雪止め金具・・・1メートルあたり2,000円から
- 外壁板金工事・・・1㎡あたり3,500円から
足場工事
屋根の工事では、作業用の仮設足場が必要になります。工事中にだけ必要なもので、工事が終わればすべて撤去されます。
- 仮設足場・・・1㎡あたり800円から
- 昇降階段・・・1か所あたり30,000円から
- 屋根足場・・・1㎡あたりから700円から
- 飛散防止用メッシュシート・・・1㎡あたり300円から
雨樋工事
雨樋は屋根に降った雨水を効果的に排水する設備です。
軒先で受け止めて集水し、地面に降ろします。
- 半丸軒樋・・・1メートルあたり1,500円から
- 中型角軒樋・・・1メートルあたり3,000円から
- 大型角軒樋・・・1メートルあたり4,500円から
- 樋受け金具・・・1本あたり1,000円から
- たて樋(丸)・・・1メートルあたり3,000円から
- たて樋(角)・・・1メートルあたり4,000円から
- 中型集水器・・・1か所あたり4,000円から
- 大型集水器・・・1か所あたり4,500円から
ほか、エルボやたて樋固定用の打ち込み金具などが必要です。
単価が相場よりも高くなるケース
高層階建ての場合
ここまでに挙げた費用単価の相場はすべて2階建ての想定です。3階建て以上の建物では費用が割高になることがあります。材料の上げ下ろしや作業員の上り下りに手間がかかるので、材料の単価は同じですが、作業の手間が増える分が割高になります。
特殊な立地の場合
接道している道路が狭い場合や道路から奥に入った立地では、費用が割高になることがあります。工事車両が入れなかったり材料の搬入・搬出が人力運搬になる割合が高いほど費用に影響します。
また、お隣りの家が接近している場合、養生を施工することもあります。
重機を使用する場合は電線の位置なども影響することがあります。
屋根の勾配の場合
屋根は平面で見る面積より実際に勾配が付いた方が面積は大きくなります。そして勾配が急であるほど面積は大きくなります。つまり、屋根の勾配が急になるほど費用が割高になる可能性があります。たとえば5寸勾配ならおよそ1.1倍、7寸勾配ならおよそ1.2倍になります。
また、急勾配屋根では、作業効率が悪くなり作業費も割高になります。急勾配屋根の場合、安全確保のため屋根にも足場を掛ける場合があります。
ただし、通常は勾配も含めて見積金額を計算していますので、後から費用がかかるということはありません。
既存建材の劣化が激しい場合
既存建材というのは、屋根材の下にある下地のことです。まずアスファルトルーフィングなどの防水シートがあり、その下に野地板があり、さらに野垂木があるケースもあります。
これらの劣化が激しい場合には、屋根材を撤去したタイミングで交換する必要があるため、そのぶんの材料費用と作業費用が加算されます。
まとめ
屋根工事価格の単価相場、加えて割高になるケースを解説してきました。
同じ工事項目でも、製品グレードや種類、葺き方などによって単価は変わりますので、あくまで目安と考えてください。また、実際には仮設工事や軒先、棟などの納めといった細かい工事項目があり、単純に単価と面積の費用だけで工事できるわけではありません。
依頼した見積もりと大きく差がないかなどの確認の参考になれば幸いです。