瓦屋根の工事にかかる費用と施工事例を紹介。

屋根工事瓦1

瓦屋根とは?

瓦屋根とは、建築物の屋根に主として瓦が葺いてある屋根のことをいいます。

また瓦とは、粘土を成形し瓦窯で焼成したもので、主に屋根材として使用されます。

瓦には大きく2種類があり、ひとつは「本瓦葺き」、もうひとつは「桟瓦葺き」です。

本瓦葺きは古くから日本の伝統建築で使用されており、瓦の山の部分と谷の部分との部材が分かれ、屋根面に落ちた雨水は谷部分に集水され排水されていきます。使用される部材が多く、製造にも施工にも手間がかかり、重量も重くなるため現在では一般住宅に採用されることはほとんどありません。主に、城郭や寺社建築に使用されています。

桟瓦葺きはもともと本瓦葺きを簡略化したもので、山部と谷部とが一体化した形です。現在使われている瓦とは一般に粘土原料の桟瓦葺きのことを指します。形やデザイン、粘土の種類、製造方法などによって和瓦と洋瓦に分かれ、さらに現在は石・セメント・金属製のものもあります。

一般的な桟葺き瓦の場合、耐久年数は30年から50年ほどといわれています。

瓦屋根工事の種類

屋根工事瓦2

葺き替え工事

葺き替えは、古くなった既存の屋根を新しい瓦屋根に取り替える工事です。

既存の屋根をいったんすべて撤去しますので、防水シートや野地板などの下地を交換することもできます。

屋根瓦の年数がそれなりに経過し、全体的に寿命を迎えている場合に葺き替え工事を行います。

葺き直し工事

屋根瓦をいったん取り外して下地や防水シートなどを取り替えたうえで、もう一度同じ屋根材を葺き直すという工法です。

その際に状態の悪い瓦を選別して、一部を新しい瓦と取り替えることもあります。

いったん取り外した瓦を葺き直すまで置いておくスペースが必要になります。

瓦の積み替え工事

台風や地震などでズレてしまった瓦を、いったん取り外して積み替える工事です。自然災害がなくてもいつのまにかズレていることもあります。

熨斗状に積み重なっている棟や、平面の瓦に発生することが多く、放置しておくと瓦の落下や、防水シートや下地の劣化などにつながります。

豪雨や災害のあとは屋根をよく点検することをおすすめします。もし瓦の異変に気がついたら、速やかに積み直し工事を依頼しましょう。

なお、自然災害で受けた被害では、加入している火災保険が適用できることがあります。

塗装工事

粘土系の瓦に塗装工事は必要ありませんが、セメント系の瓦の場合は10年から20年周期で定期的な塗装のメンテナンスが必要になります。

まず高圧洗浄でゴミや汚れを取り除き、下塗り、中塗り、上塗りの3回工程で仕上げます。

雨樋工事

雨樋は、屋根から流れてきた雨水を軒先で受け、集水して地面に落として排水する役割があります。

しかし、常に雨風にさらされているため劣化していきますし、雨水だけでなくゴミなども流れます。飛散してきた枯葉や枝などが思った以上に屋根から樋へと流れ込んでいます。

それらが雨水の流れを妨げ、集水器などの詰まりの原因になるのです。

雨樋の素材は一般的に塩化ビニールかガルバリウム鋼板が多く使われていますが、特に安価で柔らかい塩化ビニール製の樋はたわみを起こしやすいといわれます。樋を支える樋受けの金物の本数、ピッチ・間隔によってもたわみやすくなります。

また、強風や台風、豪雨などによって許容範囲を超える水量や風圧を受けることで、軒樋が曲がったり、傾くなどのダメージを受けます。時には樋受け金具が外れることもあります。

雨樋がたわんだり傾いたりすると、正常な集水と水流が確保できず、漏れたり溢れたりしてしまいます。そうなると外壁に直接雨水がかかったり、地面で飛び跳ねた水滴が土台や基礎を濡らし、湿らせます。最悪の場合は樋が外れて落下することもあります。

もし樋がたわんだり傾いたりしてしまっていたら、早めに交換工事を依頼するか取り外すなどの対応をしましょう。雨樋は台風や豪雨で破損するケースが多いため、場合によっては加入する火災保険で工事できることがあります。

漆喰補修工事

瓦屋根に使われる漆喰は、石灰、水、油、繊維等を混合してできており、主に隙間を埋めるために用いられています。隙間とは、瓦を葺いたときに主棟や隅棟の土台と平面との間や軒先などにできます。この隙間を漆喰で埋めていきます。

屋根の漆喰の耐久性はおおよそ10年から20年くらいです。施工後10年から15年前後で表面にヒビが入ってきたり、剥がれて乾燥した土が流出してきたりします。

屋根瓦に使われる一般的な瓦の耐用年数は30年から50年くらいのものが多いので、屋根の漆喰の寿命は瓦よりも短いことになります。漆喰は石灰を主とした材料のため、雨風や直射日光、寒暖差、経年による劣化が瓦より早く進行します。

そのため、瓦の葺き替えまでに数回は全面的な漆喰の補修が必要になります。

瓦屋根工事の費用相場

費用相場画像

葺き替え工事

瓦屋根工事の葺き替えにかかる費用は、おおよそ120万から180万くらいが相場です。もちろん、瓦の種類や建物の条件などによって変わりますので、目安の金額です。

葺き直し工事

瓦屋根工事の葺き直しにかかる費用は、おおよそ60万から100万くらいが相場です。状態の悪い瓦のみ新規の屋根瓦に取り替えるため、その枚数によって金額差が発生します。

瓦の積み替え工事

瓦の積み替え工事にかかる費用は、おおよそ15万から50万くらいが相場です。積み替えが必要な工事の範囲によって変わってきます。

塗装工事

瓦屋根の塗装工事にかかる費用は、おおよそ50万から100万くらいが相場です。ただし、一般的な粘土系の瓦には塗装は必要ないため、セメント系の瓦が対象になります。

雨樋工事

雨樋工事にかかる費用は、おおよそ10万から30万くらいが相場です。部分的な修理工事か全面的な取り換え工事かによって費用は大きく変わります。

漆喰補修工事

漆喰補修工事の費用相場は5万から20万ほどです。瓦をばらして漆喰を交換する工事では10万から40万ほどになります。

まとめ

まとめ画像

瓦屋根工事の種類や費用相場について解説しました。

瓦屋根のメリットは、耐久性が高く塗装のメンテナンスが必要ないところです。(※セメント瓦は塗装工事が必要。)一度葺き替えてしまえば、30年から50年に渡って大きなメンテナンス費用がかからないことも多いです。デメリットとしては、重量があるため屋根が重くなり耐震性が低下してしまうことです。また、古くなり廃材になると金属のようにリサイクルができず、解体撤去・処分に手間も費用もかかるという、環境問題につながります。

いずれにしても、瓦屋根の各種工事を適切なタイミングと方法で施工することで、建物全体を長期的に、本来の耐久年数を損なうことなく維持していくことができます。屋根は家の基礎と同様に建物を守っていく重要な部分です。

髙橋 直浩

株式会社 高橋ブリキ工房
代表取締役社長

関連記事

  1. 屋根工事施工手順1
  2. 屋根工事挨拶画像1
  3. 屋根工事ガルバリウム1
  4. 屋根工事リフォーム画像1
  5. 屋根工事カバー工法1
  6. 屋根工事費用1
PAGE TOP