屋根工事のタイミングはどう判断する?種類別のタイミングをプロが解説。

屋根工事タイミング1

屋根工事のタイミング

屋根工事には工事をするべき時期、適切なタイミングがあります。

単純に築年数や見た目ではなく、屋根材によって屋根の寿命は様々ですし、同じ屋根材でも劣化状況によって工事のタイミングは変わってきます。

屋根材別の耐用年数目安

瓦屋根編

瓦屋根の耐用年数には、瓦の種類によっておよそ20年から100年という大きな幅があります。セメント系の瓦であれば30年程度までの耐用年数になります。粘土系の瓦であれば60年ほど保つこともありますし、なかでも伝統建築などに使う「いぶし瓦」であれば100年という非常に長い耐用年数になります。

スレート屋根編

コロニアルやカラーベストといわれるスレートの耐用年数は20年から30年くらいです。薄くて軽いスレートは価格的にもリーズナブルですが、塗装のメンテナンスも必要ですし、屋根材自体の寿命は長くはありません。

ガルバリウム屋根編

ガルバリウム鋼板屋根の耐用年数は30年から50年くらいになります。塗装メンテナンスは必要ですが、何度か塗替え工事ができるくらい素材自体の耐久性が高めてある屋根材です。スレートよりは費用がかかりますが、瓦よりリーズナブルです。

屋根工事におすすめの季節

屋根工事に向いている季節を考える場合、天候による工事中の被害や工期スケジュールの延長を防ぐために、その要因になりそうな季節を回避した方が無難です。まずは雨や雪などが多い季節を避けるため消去法で考えることになります。

梅雨から夏場は雨と台風があり、なにより近年は夏の暑さが深刻です。日中は作業性が落ち、熱中症の危険もあります。同様に冬は雪と寒さ(凍結)のリスクがあるため、季節的には春と秋が向いているといえます。

とはいえ、住んでいる人や家族の都合、地域や近所の都合なども総合的に考慮する必要がありますし、春と秋は業者のスケジュールもあわただしくなりますので、あえて余裕があるタイミングに工期を組むという選択肢もあります。

それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、工事の時期を検討しましょう。

台風など災害の後

台風などで屋根に被害があった際は、その修理のタイミングに合わせて葺き替えなどの大きな工事を一緒に行ってしまうほうが効率的なケースがあります。いうまでもなく、近々工事をするのであればわざわざ修理をしてから改めて葺き替えるよりは、費用的にも時間的にも節約できることになります。

しかし、台風などで被害を受けたタイミングでは、そのエリアは他にもたくさんの被害を受けている人たちがいるということになります。つまり同じことを考える人が増えているタイミングであり、業者のスケジュールが追いつかない可能性もあります。また、空いている業者ならどこでもいいと焦ってしまうと、優良業者ではなく悪質な業者に依頼してしまう危険もあります。

応急処置をした状態でしばらく辛抱して、落ち着いて冷静に見積もりを依頼するなど、くれぐれも業者の選定を焦らずに日頃から信頼できる業者に相談できるようにしておきましょう。

屋根工事が必要な劣化状況

各屋根材の平均的な耐用年数は上に挙げたとおりですが、メンテナンスや交換時期が近い、あるいは既に過ぎている場合に以下のような劣化状況がみられることがあります。その場合には、早急に葺き替え工事やカバー工法などの屋根工事が必要になる可能性があります。

屋根工事タイミング2

ひび割れ・欠けがある場合

ひび割れや欠けが発生するのは主に瓦屋根のケースです。瓦にひび割れや欠けが複数出てくるのは屋根の寿命が近いことを表しています。その場合は屋根の工事が必要な劣化状況といえます。割れたり欠けたりした瓦が落下してくる危険性もありますので、早い段階でメンテナンス工事が必要です。

苔が繁殖している場合

苔が繁殖しているということは、屋根材に湿気が溜まっていることです。つまり雨水や空気中の水分を吸ってしまい、防水力が落ちていることを意味しています。

苔が繁殖すると、緑色や黄色っぽく変色してきます。苔が広範囲で繁殖していると屋根のメンテナンス工事が必要です。

腐食している場合

瓦屋根の場合は見た目には分かりづらいのですが、表面の細かいひび割れ・クラックから水が入り、内部の粘土が腐食していることがあります。程度によっては手で持って割れてしまうほどの腐食が進行していることもあります。

トタンやガルバリウム鋼板などの金属屋根では、塗装の塗膜が劣化して防水性能を失い、屋根材に直接水分が付着する状態になっていると、錆が発生します。特に塗膜の劣化が激しいのは折ったり曲げたりしている箇所で、この部分は加工時に塗膜が伸ばされているため他の部分と比べて劣化や剥離が発生しやすくなります。

雨漏りしている場合

雨漏りしている場合も、屋根のメンテナンスが必要です。ただし、大規模な葺き替えやカバー工法で全面的な屋根工事が必要かどうかについては、耐用年数や雨漏りの原因により判断します。大きな雨漏りであっても、比較的新しい屋根材で原因がはっきりしていれば、部分的な修理・補修工事で対応できることもあります。

まとめ

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屋根工事のタイミング、屋根材別の耐用年数や劣化状況などについて解説してきました。

屋根材によって目安となる耐用年数にはバラツキがあり、劣化状況にも程度の差がありますが、そこへ至るまでのメンテナンス工事が重要なポイントになります。

ひとつは塗装のメンテナンス工事です。屋根材に合わせた適切なタイミングで塗装メンテナンスを行うことで、その屋根材が本来持っている耐久性を発揮することができます。逆にタイミングを逃すと、本来より短いサイクルで屋根工事を行わなければならなくなったり、下地を傷めてしまうことで余分な費用がかかってしまったりすることになります。

瓦屋根、スレート、ガルバリウム鋼板という代表的な屋根材について述べてきましたが、たとえばステンレス屋根は適切なメンテナンスさえ行えばガルバリウム鋼板を超える耐用年数が期待できます。

屋根工事のタイミングは信頼できるプロの業者に相談したうえで決めることが大切です。

髙橋 直浩

株式会社 高橋ブリキ工房
代表取締役社長

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